特定記録、書留、内容証明、配達証明の使い分け
1.確実に届けたい場合
(1)賠償不要・配達の記録が不要の場合
特定記録を利用すると、郵便局での受付(引き受け)を記録してもらえます。
また、インターネット上で配達状況を確認することができます。
そして、特定記録の場合、配達の記録(受領印の押印または署名)はなされないので、送付先の郵便受けに配達されたことをもって、配達完了となります。
(2)賠償が必要・配達の記録が必要な場合
書留を利用すると、仮に送付書類が紛失し、送付先に届かなかった場合には、実損額の賠償を受けられます。
また、インターネット上で配達状態を確認することができます。
そして、書留の場合、配達の記録がなされるため、送付先が実際に郵便物を受け取り、受領印の押印または署名を行ってはじめて配達の完了となります。よって、相手方が受け取ったことを確認したい場合には、書留を利用することになります。
5万円までの賠償額で足りる場合には、簡易書留を利用すると、料金が書留より割安になります。ただし、簡易書留の場合、引き受けと配達のみの記録となり、途中の送達過程を確認することはできません。
2.いかなる内容の文書を誰から誰宛に送ったという事実を証明したい場合
いかなる文書を送付したかについて、後日の証拠として残す必要がある場合には、書留に加えて、内容証明を利用することになります。
例えば、法律上の意思表示等(債務履行の請求、契約の解除、取消し、債権譲渡の通知等)をする場合があります。
これ以外の場合であっても、弁護士は相手方に送る書面として、内容証明をよく利用します。相手方へ強いプレッシャーを与える必要があると考える場合です。
3.いつ届いたという事実を証明したい場合
文書がいつ相手方に届いたかについて、後日の証拠として残す必要がある場合には、書留に加えて、配達証明を利用することになります。
例えば、いつ契約が解除されたかを認定するためには、いつ解除通知が到着したかについての証拠が必要になります。原則として、意思表示は、相手方に到達した時から効力が生じるとされているためです(民法97条1項)。
そのため、契約解除の通知を送る際などには、配達証明付の内容証明で送付するのが通常です。
配達が完了すると、郵便局からいつ到着したかを記載したハガキが送付元に届きます。
4.相手が受け取らない場合
書留、内容証明、配達証明を利用した場合、送付先が不在であれば、郵便局員が配達することができません。
その場合に郵便局員は、不在票を郵便受けに入れることになりますが、それに対して送付先の方が再配達依頼をしなければ、一定期間の後に、郵便物が送付元に戻ってきてしまいます。
相手方に受け取る意思がない場合、また書留等で送付しても再度郵便物が戻ってきてしまいます。
そのような場合には、特定記録や普通郵便として送付せざるを得ないことになります。